夜、暗く寝静まる村
音も無く夜明けを待つだけと思われたが
ドーン
突然、大きな音が響いた
それが、合図だった
村の中心に建てられた櫓に火を放つ
ごうっと立ち上る炎
その炎を中心に人々が円になるように散らばっている
どこからか楽器を奏でているようだ
心洗われるような旋律が聞こえていた
踊る者もいた じっと炎を見つめる者もいた かたわらの大切な人を見る者もいた
みんなバラバラに好きなことをしていたが
不思議と雰囲気は、同じ何かを共有しているようだった
空が白み始め、炎が力尽きる頃
もう、誰もいなかった
村さえ、なかったかのように消えていた
それでも、今なお伝えられる
夜祭りをする旅の村がある、と
